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 2020-04-09

TA20セリカブレーキシステムのグレードアップ

本日はブレーキに関するお悩みで入庫したセリカについて紹介いたします。
いつも部品購入をされていた近所のお客様のTA20セリカです。
常日頃からブレーキの効きが非常に悪い、と言われていました。
状況としては、
①もともとは前後ともにドラムブレーキの車両だった。
②シングルマスターシリンダーである。
③ブレーキブースター無しである。
④フロントを86のディスクブレーキに換装してある。
というものでした。

「前輪をディスクに変更してグレードアップしたから効くはずでは?」

と思う方もいるかもしれません。でもそれじゃあダメなんです。
もともと全輪ドラムでシングルマスターという事は前後の制動力配分が1:1です。
でもディスクブレーキの場合は前後の制動力配分が7:3といったように、
フロント側に力がより加わることになっています。
その配分変更をしないでフロントディスク化してしまうと、
本来かかるべき力が配分されません。つまりディスクを抑え込む力が不足します。
結果として止まらない危険な車となります。

そこで当社では以下のような変更を加えました。
①ブレーキブースターの追加(踏力軽減)
②フロントディスク用タンデムマスターへの変更
③付随してシリンダー径が3/4inchから13/16inchに変更
④プロポーショニングバルブの追加
THserviceとしては①、②は作業内容としては当たり前。
④が非常に重要と思っています。プロポーショニングバルブが無ければ
正しい液圧の前後配分が行われないので作業の意味が無くなってしまいます。

という事で取り付け後の写真になりますが、
プロポーショニングバルブがこちら↓

マスターシリンダーから出た配管がたどり着く真鍮のブロック状部品、
これがプロポーショニングバルブです。この中で液圧が配分されます。
通常トヨタ車ならトヨタ車の中で流用を考えるのが普通かもしれませんが、
THserviceではフォード車もやっている関係もあり、部品の安定供給面も
考慮してフォード車用を選択しました。ちなみにこれは71-73マスタング用です。
当然ながら規格がinchです。従って配管はマスター側はmmのフレアナット、
バルブ側はinchのフレアナットでオリジナル製作となっています。

使用した部品は、
・ブレーキマスターシリンダー
THserviceオリジナル復刻形状品、T-BM06SET
・ブレーキブースター
THsrviceオリジナル品、T-BBN01
・プロポーショニングバルブ
フロントディスクリアドラム仕様の71-73マスタング用

となっています。また適当にビローンとしたバキュームホースでは
非常に恰好悪くなってしまいます。そこでホースに一手間加えて
90度の曲げを2か所入れました。これであたかも本来のホース
であるかのような雰囲気となりました。ちょっとした拘りですね。

オーナー様に試乗してもらった結果、
「やっとまともなブレーキになって安心してアクセルを踏めます」
との感想をいただきました。
ブースターによる踏力軽減、タンデムマスターと正しい液圧配分
による制動力アップおよび微妙なペダルタッチでの制動力コントロール
ができるようになったという事ですね。

皆様の参考になれば幸いです。